マルタの美術を語る際、必ず登場するのが「カラヴァッジョ」です。
カラバッジョとマルタ騎士団
本名はミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ。1571年にミラノで生まれ、 1610年に亡くなったとされています。カラバッジョがマルタに来たのは36歳であった1607年。この前の年には殺人を犯しており、逃げるようにしてナポリからマルタにわたり、騎士団に迎えられています。
「洗礼者ヨハネ」という大作を仕上げながらも、カラバッジョはマルタでも騎士を襲撃し、牢屋に入れられますがすぐに脱獄。シチリア島に逃げ、絵の注文を受けては描き、復讐に追われては負傷しと、逃亡を続けます。結局ナポリを経由してローマに向かう途中で病死したと言われています。
カラバッジョはバロック絵画が確立されるにあたって大きな影響力を与え、かのレンブラントなども、少なからずカラバッジョの影響を受けたと言われています。
カラバッジョに関する映画
日本ではあまり知られていないカラバッジョですが、実は映画や小説でカラバッジョをモデルにした作品がいくつかあります。その中でも有名なのが 1987年にイギリスで公開された『カラヴァッジョ』で、この映画はベルリン映画祭で受賞しています。
また、2007年に公開されたイタリア映画の『カラヴァッジョ 天才画家の光と影』もあります。
カラバッジョは天才画家でありながら、殺人を犯して南イタリアを逃げ回ったという犯罪者でもあり、その人生は波乱に満ちたものだったと言います。彼の人生と作品を知ってからマルタに行くことをお勧めします!
マルタでカラバッジョの絵が見られる場所「聖ヨハネ大聖堂」
バレッタの中心にある聖ヨハネ大聖堂では、カラバッジョ作品を2つ見ることができます。一つは「執筆する聖ヒエロニムス」、もう一つは「洗礼者ヨハネの斬首」です。
「執筆する聖ヒエロニムス」
この絵はマルタ騎士団のナポリ支団長のために描かれた絵だということで、キャンバスの右下にはマルタ騎士団の紋章が描かれています。男性が一人描かれていますが、この人はマルタ騎士団長であると言われています。
「洗礼者ヨハネの斬首」
このページ最初にある写真がその絵画です。カラバッジョの「洗礼者ヨハネの斬首」は横幅が5メートル以上あり、カラバッジョの他作品と比べても、大変大きな絵画です。ヨハネの死が描かれた絵画は他にもあるのですが、「ヨハネの死が犠牲であった」ということを伝えている絵は、カラバッジョならではの特徴なのだとか。絵の右側に書かれた囚人は、イスラム教との闘いで犠牲になった騎士団員と見られ、「犠牲になっている彼らを救おう」というメッセージと言われています。
カラバッジョ作品に画家の名前が書かれているものは珍しいのですが、この絵には、ちょうどヨハネの血だまりのあたりに、血と同じ赤字でカラバッジョの名前が記されています。
聖ヨハネ大聖堂 基本情報
■住所:Triq San Gwann, Il-Belt Valletta
■TEL:+356 2122 0536
■HP:https://www.stjohnscocathedral.com/
■営業時間:
月曜~金曜 9時半~16時半(チケット購入は16時まで)
土曜日 9時半~12時半(チケット購入は12時まで)
■定休日:日曜・祝日
■料金:大人10ユーロ、シニア・学生7.5ユーロ、12歳以下無料(要大人の同伴)
※2019年5月現在
参考にした書籍
出版社: 東京美術 (2009/12/1) 宮下 規久朗著